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計画地は台東区下谷、入谷の交差点から徒歩にして5分程度の利便性の高い場所にある。交通量が非常に多い言問通りとそこから分岐した裏通りにはさまれた敷地である事以外際立った特徴がない。小規模な店舗を一階に抱えたマンションが建ち並ぶどこにでもあるような都市風景が広がり周辺環境にこれといった文脈は殆ど無いと言っても過言ではないが、路地裏に入るとかろうじて江戸情緒の面影が残っているといった立地条件である。
既に計画は事業主及び設計監理者として株式会社プロスパーデザインが進めていたが、具体的に販売に懸けるという段階となり、急遽我々が外観及び共用部のデザインに関する提案を行うことになった。
事業主からは、ディンクス及び単身女性をターゲットとすること、これまでのマンションの印象を払拭する斬新な（具体的には「ブティックのような」というキーワードが掲げられた）外観を目指すことが求められた。そこで我々は既に終了している基本計画の見直しを視野に入れ、小規模開発で行う場合に採るスタンスの固有性、強い第一印象の重要性を説きながら提案を繰り返し、事業主との度重なるやりとりの末、二つのブロックを二本の塔に見立て、パターンによって垂直性を強調した外観デザインとブティックやホテルなどのエントランスを髣髴させるような共用部のデザインを提案した。
業務内容が提案のみに留まっていたことから、今後この提案内容が多様で具体的な協議により改変される可能性は否めないが、デザインに関わる事業主との共同作業の結果として、この提案が変わることなく具現化されることを願っている。

備考：
春原建築設計事務所と協働

担当者 H.A.S.Market