Works
設計事例
# RDH
個人住宅
DETAIL
設計者 | H.A.S.Market |
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所在地 | 和歌山県和歌山市 |
竣工 | 2020年 |
主要用途 | 専用住宅 |
主体構造 | 木造 |
敷地面積 | 171.16㎡ |
延床面積 | 119.23㎡ |
階数 | 2階 |
業務内容 | デザイン監修 |
施工者 | design house デザイエ |
撮影 | design house デザイエ |
プロデュース | R+house |
Open 10:30~19:30 / 定休日 土日祝
COMMENT
我が国の伝統的な住宅における開放性は庭があることで成立してきた。敷地は前記した構成をつくることが可能である閑静な住宅地にあるが同時に前面道路が南側にあることからモータリゼーションが当たり前になった現代において自動車のアクセスを考慮しながらプライバシーを確保した庭を設けることが難しい場所にあるように思えた。
またこの地に住まうことになった建築主は住宅の一部を地域住民のために開放し教室を開きたいという願いとともに開放性がありリラックスできる家族だけの空間をつくりたいという一見すると二律背反する家を望んでいた。
そこで前面道路側をパブリックな空間と捉え駐車場や教室を設けることで地域に開放し、敷地の奥に設けたパーソナルな家族だけの空間との間に中庭の様な中間領域(バッファーゾーン)を挟み込む構成に辿り着いた。またその奥性を立体的に展開する空間構成とすることで家族から個人へのプライバシーに応用させようと試みた。
またこのパブリックスペースとパーソナルスペースに挟まれた中庭の様な空間の一辺を取り払いさらに南東側に開く形態とすることで日光や通風といった環境を敷地の奥に取り込もうと考えた。
併せて平面的にも立体的にも距離を確保したこの空間構成は視線が上下左右に広がることで家全体を見渡せると同時に家族間や来訪者との微妙な距離をつくり出す装置にもなると思われる。
これらの操作は近代主義による合理的な形態を守り住宅の骨格をつくることを諦め、だらしなく敷地周辺と接続することにより、住宅に環境を取り込もうとした結果の現れでもある。
我々は冒頭で述べた伝統的な考え方を現代の状況を踏まえ考え直し住まい手の行動や心理に適した建物を計画しなければならない。その為には仕来りやルールを時には脱線しズボラになる事も必要なのではないかと思う。このズボラ感がこの家に豊かさを与えることを願いこの家を提案する。